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【2025年最新版】業界動向を読み解く~大規模修繕市場・6つの重要トレンド

大規模修繕工事

「10年前と同じ計画、同じ考え方では、もはや通用しない」

もし、管理組合様で今、大規模修繕を計画しているなら、この言葉を重く受け止める必要があります。ウクライナ情勢や円安に端を発した資材価格の高騰。そして、建設業界の構造的な課題である深刻な人手不足(2025年問題)。これらは、もはや一時的な現象ではありません。

「ただ古くなった箇所を直す」という従来型の修繕計画は、こうした荒波の中でコスト超過や品質低下のリスクに常に晒されます。では、どうすればいいのか?

答えは、変化の潮流、すなわち「トレンド」を正確に読み解き、それを逆手にとって戦略を立てることにあります。

本記事では、大規模修繕業界の専門家として、今まさに直面している「逆風」と、それを乗り越えるための「追い風」となる、6つの最重要トレンドを徹底的に解説します。この記事は、単なる情報提供ではありません。変化の波を乗りこなし、あなたのマンションの資産価値を未来に向けて最大化するための「戦略的羅針盤」です。

【逆風編】直視すべき3つの構造的課題

まず、目を背けることのできない市場の厳しい現実から見ていきましょう。この「逆風」を理解することが、賢明な対策を講じるための絶対的な第一歩です。

トレンド1:終わりなき「資材価格の高騰」とコスト上昇圧力

ウッドショックやアイアンショックは記憶に新しいですが、塗料、防水材、シーリング材、金属製品など、大規模修繕に使われるほぼ全ての資材価格が、高止まり、あるいは今なお上昇を続けています。

  • 要因:世界的なインフレ、円安による輸入コスト増、原油価格の上昇、物流コスト(2024年問題)などが複合的に絡み合っています。
  • 影響:数年前の長期修繕計画で試算された工事予算では、計画通りの工事が実行できないケースが続出しています。予算内に収めるために工事範囲を削れば、建物の寿命を縮めることになりかねません。

【プロの視点】 これは「嵐が過ぎ去るのを待つ」という類の問題ではありません。「コストは常に上昇する」という前提に立ち、後述するコスト削減技術(DX)や付加価値向上による費用対効果の最大化をセットで検討することが必須の時代です。

トレンド2:待ったなしの「人手不足」と「2025年問題」

建設業界では、職人の高齢化と若者の入職者減による人手不足が長年の課題でした。2025年には、熟練の技術を持つ「団塊の世代」が一斉に後期高齢者となり、大量退職が本格化します。これにより、以下のリスクが顕在化します。

  • 技術継承の断絶:高品質な施工を担える熟練工が減少し、工事品質のばらつきや低下が懸念されます。
  • 人件費の高騰:限られた労働力の奪い合いとなり、労務単価は上昇の一途を辿ります。また、完全週休2日制が建築界にも定着すれば更なる高騰となります。
  • 工期の長期化:職人を確保できず、計画通りに着工できない、あるいは工期が延びてしまうリスクが高まります。

【プロの視点】 信頼できる技術者と良好な関係を持つ、経営が安定した施工会社を見極める重要性が、かつてなく高まっています。また、省人化に繋がる新しい工法や技術への感度も、業者選定の重要な指標となります。

トレンド3:厳格化する「法改正」への対応義務

近年、建物の安全や環境に関わる法改正が相次いでおり、これらは大規模修繕のコストと工期に直接影響を与えます。

  • アスベスト(石綿)規制の強化:2022年4月より、一定規模以上の解体・改修工事でアスベスト含有の有無の事前調査が義務化されました。調査や除去・封じ込め作業が必要となれば、相応の追加費用と工期が発生します。
  • 足場設置基準の改正:労働者の安全確保のため、足場の設置基準がより厳格化。これにより、仮設工事のコストが増加する傾向にあります。
  • 2025年建築基準法改正:省エネ基準への適合義務化など、主に新築・増改築が対象ですが、「修繕」と「改修」の境界線や、将来的な資産価値を考える上で、これらの基準を意識した工事が求められるようになります。

【追い風編】逆境をチャンスに変える3つの新潮流

厳しい現実の一方で、これらの課題を克服し、むしろ修繕を好機に変えるための新しい技術や考え方が急速に普及しています。ここにこそ、私たちが注目すべき「追い風」があります。

トレンド4:業界を変革する「建設DX」の加速

人手不足やコスト管理の課題を背景に、デジタル技術を活用する「建設DX(デジタルトランスフォーメーション)」が、大規模修繕の世界にも浸透し始めています。

  • ドローンによる建物診断:従来、足場を組まなければ困難だった高所の詳細な劣化状況を、安全かつ短期間、低コストで把握可能に。診断精度の向上は、不要な工事の削減に直結します。
  • BIM/CIMの活用:建物の3次元モデルにコストや仕上げ情報などを統合するBIM/CIMは、工事範囲や仕様の変更に伴うコスト変動をリアルタイムで可視化します。これにより、管理組合内での迅速で透明性の高い合意形成を強力にサポートします。
  • 施工管理アプリ/ツールの導入:写真管理や情報共有をデジタル化することで、現場の生産性を向上させ、ヒューマンエラーを削減。品質管理のレベルを引き上げます。

トレンド5:「修繕」から「改修(アップグレード)」へ価値観のシフト

「ただ元に戻すだけではもったいない。せっかく足場を組むなら、未来の価値を高めよう」という発想が、現在の主流になりつつあります。これは、コスト上昇という逆風に対する最も有効な対抗策です。

◆代表的な付加価値向上メニュー◆

  • 【最重要】省エネ性能の向上:外壁の断熱塗装や、窓を複層ガラス・内窓へ交換することで、居住者の光熱費を削減。快適性を高め、建物の環境性能をアピールできます。国の補助金制度も充実しており、今最も注目されるトレンドです。
  • 防災・減災対策の強化:地震に備える耐震補強や、近年の豪雨災害に対応する止水板の設置など、住民の生命と財産を守る改修は、マンションの安心感を高め、資産価値に直結します。
  • 多様化するライフスタイルへの対応宅配ボックスの増設・大型化EV(電気自動車)充電設備の設置、無料Wi-Fiの導入など、現代のニーズに応える設備投資は、物件の魅力を高め、競争力を維持します。

トレンド6:SDGsと「サステナビリティ(持続可能性)」への貢献

環境への配慮は、もはや企業の社会的責任だけではありません。マンションのブランドイメージと長期的な資産価値を左右する重要な要素となっています。

  • 長寿命化修繕への取り組み:耐久性・耐候性の高い材料(高耐久塗料や高性能シーリング材など)を選定し、修繕サイクルを延ばす(例:12年→15〜18年)ことで、LCC(ライフサイクルコスト)を削減する考え方。
  • 環境配慮型材料の採用:VOC(揮発性有機化合物)の少ない塗料や、再生資源を利用した建材など、健康や環境に配慮した材料を選ぶ動きが活発化しています。
  • 廃棄物の削減:既存の防水層や外壁材を撤去せず、上から被せる「カバー工法」なども、廃棄物削減と工期短縮の観点から再評価されています。

 

まとめ:変化の時代に、管理組合が持つべき視点

大規模修繕を取り巻く市場は、かつてないほどダイナミックに変化しています。

  • 逆風:資材高騰、人手不足、法改正という構造的課題は、コストと工期への上昇圧力として続きます。
  • 追い風:DXによる効率化、付加価値向上改修、サステナビリティという新潮流は、逆風を乗り越え、資産価値を飛躍させるチャンスを秘めています。

これからの大規模修繕工事は「守り」から「攻め」への発想転換が求められます。ただ劣化を回復させるだけでなく、時代のニーズを捉えた「アップグレード投資」を行うこと。

変化を恐れるのではなく、変化を学び、活用する管理組合こそが、未来の資産価値を創造します。

まずは、管理組合がお持ちの長期修繕計画書が、これらのトレンドを反映したものになっているか、見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。

万が一、長期修繕計画書が備えられていない場合は、早期に対応しましょう!!!

【無料相談・市場動向レポートのご案内】

「最新の市場動向を踏まえて、うちの修繕計画を見直したい」「補助金を活用できる付加価値向上工事について詳しく知りたい」など、専門家が無料でご相談に応じます。より詳細な市場動向レポートもご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

 

阪田 智也
阪田 智也

・1級建築施工管理技士
・1級管工事施工管理技士
・宅地建物取引士
・管理業務主任者
・マンション維持修繕技術者

大手建物管理会社にて14年、
大規模修繕を含む建物管理に従事。
劣化診断、修繕計画、工事監理で豊富な実績。
現在は株式会社Link代表取締役として、
マンション等のリニューアル事業を展開。
「建物の価値創造」を理念に、三方良しの修繕を提案します。

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阪田 智也
阪田 智也

・1級建築施工管理技士
・1級管工事施工管理技士
・宅地建物取引士
・管理業務主任者
・マンション維持修繕技術者

大手建物管理会社にて14年、
大規模修繕を含む建物管理に従事。
劣化診断、修繕計画、工事監理で豊富な実績。
現在は株式会社Link代表取締役として、
マンション等のリニューアル事業を展開。
「建物の価値創造」を理念に、三方良しの修繕を提案します。

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